賃金のルール④_退職金とは

概要

退職金(=退職手当)は退職の際に支給される手当です。長期就業のインセンティブ・退職後の生活保障などの理由で定められることが多いです。

退職金の性質

退職日における勤続年数や職能によって退職金の金額が決まることが多いため、賃金の後払いの性質を有するとされています。

退職金の支給要件・支給額の算定方法

退職金は就業規則等で自由に定めることができ、支給しないこともできます。しかし、就業規則で定めた場合には、退職金の支給義務が発生します。また、仮に就業規則で退職金の支給を定めていない場合であっても、過去に何らかの基準により退職金が支払われている場合、支給義務が発生することがあります。就業規則を変更する場合には就業規則の不利益変更の法理から変更内容が合理的でなければなりません。退職金制度は退職金の金額の算定方法により、確定給付型と確定拠出型の二種類に分類されます。

確定給付型

退職金の給付額があらかじめ確定している退職金制度です。逆に企業の退職金拠出額は変動するため、数理計算が必要になり経理が煩雑になります。

確定拠出型

退職金の給付額が変動する退職金制度です。逆に企業の退職金拠出額は確定しているため、企業経理は簡易になります。

実務上の規定事項

支給対象者

正社員・非正規・パートタイマーの、どの範囲まで支給するのかを規定します。

支給事由

勤続年数、退職事由、退職金額決定のための要素など、退職金額が支給されるための要件を規定します。

算定方法

確定給付型と確定拠出型の選択や、退職金の算定方法・拠出金の金額を規定します。

支給・不支給

懲戒解雇などの場合に退職金を支給するかなどを規定します。

支払時期

退職日後いつまでに支給するのかを規定します。分割払いや年金払いでも問題ありません。

没収・減額・返還

対象となる懲戒行為や競業行為などを規定します。

休業者の取り扱い

休業期間がある従業員の退職金額の計算について規定します。

非正規等との取り扱いの違いの合理性

正社員と非正規・パートタイマーの間の退職金の取り扱いに違いがある場合には、違いの理由を合理的に説明できるようにしておく必要があります。

実務上の留意点

確定給付型を選択する場合の留意点

確定給付型は経理がややこしいですが、間便法により経理を行うことができます。簡便法では、期末時点で自己都合退職があった場合の退職金支給額を退職給付債務として負債に計上することができるため、経理の負担が軽くなります。※間便法により経理を行うことができるのは、従業員300人未満の会社や、従業員300人以上であっても年齢・勤務期間に偏りがあるなどの理由により、退職給付計算結果に一定の信頼性が得られないと判断できる場合です。

確定拠出型を選択する場合の留意点

確定拠出型は拠出した額を費用に計上するだけなので、経理は簡単です。税務上も企業が拠出金を負担した場合には支払った時点で損金計上でき、従業員が負担した場合には所得税の社会保険料控除の対象になります。

中小企業退職金共済制度(中退共)を使用する場合も同様に、拠出額は費用計上・損金計上が可能です。


執筆者:

公認会計士・税理士 上原英知

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