賃金のルール③_賞与とは

概要

賞与とは、賃金のうち毎月支給されないもの、又は、定期又は臨時に労働者の勤務成績・経営状態等に応じて支給され金額があらかじめ確定されていないものをいいます。

賞与の性質

賞与には、給与の後払い的性質、生活補填的性質、勤労奨励的性質、功労報償的性質、収益配分的性質があるとされます。

賞与の支給要件・支給額の算定方法

賞与は就業規則等で自由に定めることができ、支給しないこともできます。しかし、就業規則で定めた場合には、賞与の支給義務が発生します。また、就業規則を変更する場合には就業規則の不利益変更の法理から変更内容が合理的でなければなりません。就業規則が合理的であれば、ある程度柔軟に支給ルールを定めることも可能です。

実務上の規定事項

支給対象者

正社員・非正規・パートタイマーの、どの範囲まで支給するのかを規定します。

試用期間中の扱い

試用期間中の従業員へ賞与を支給するかどうかを規定します。

支給日在籍要件

退職支給日前に退社したものへ賞与を支給するかどうか、支給する場合には算定方法を規定します。

支給・不支給

賞与を支給しない場合の要件を規定します。

支給回数

支給回数を規定します。なお、社会保険では賞与は年3回までのものとされています。

細かいテクニックですが・・・

仮に4回以上賞与を支給する場合には7月1日からさかのぼって1年間の賞与額を12で割った金額を毎月の標準報酬月額に加算して社会保険料を計算することになります。年3回までの賞与であれば標準賞与額という標準報酬月額とは別枠で社会保険料が課されるため、毎月の賃金が標準報酬月額の上限近くの場合には、年4回以上賞与を支給して賞与の取り扱いをさせない方が社会保険料は安くなります。

支給月

支給月や支給日を規定します。なお、支給月は被保険者報酬月額基礎届総括表の記載事項です。

賞与の査定期間

賞与の査定期間を規定します。査定期間を規定しないことも可能ですが、後々賞与について揉めた時のことを考えれば規定することが望ましいといえます。

賞与額の算定方法

賞与額の算定方法は職種や職務により自由に規定できます。例:基本給何か月分、査定により算定など。

休業者の取り扱い

休業期間がある従業員の賞与額の計算について規定します。

非正規等との取り扱いの違いの合理性

正社員と非正規・パートタイマーの間の賞与の取り扱いに違いがある場合には、違いの理由を合理的に説明できるようにしておく必要があります。

実務上の留意点

経理上の留意点

決算日時点で今後支給する予定の賞与の対象期間が経過している場合、対象期間に応じた賞与引当金を計上しなければなりません。例えば、X年11月~X+1年4月の勤務内容によって、X+1年6月に支給する賞与を算定するという就業規則がある場合、X+1年3月決算において、X+1年6月の賞与支給総額の見込み額×5/6=(X年11月からX+1年3月までの5か月)/(X年11月からX+1年4月までの6ヶ月)を賞与引当金として計上しなければなりません。

税務上の留意点

賞与の実際の支払額は人件費として、当然に損金に計上できます。しかし、賞与引当金はあくまで見込み額であり債務が確定していないことから、「支給予定月がすでに到来している賞与」および「個々の従業員に支給額が通知されているなどの要件を満たす賞与」など、実際に支払が行われたものと同視し得るような状態にあるものに限って損金計上ができることとなっています。


執筆者:

公認会計士・税理士 上原英知

コメントを残す

%%footer%%