仮想通貨は金(きん)に近いという話

皆様、仮想通貨ってご存じでしょうか。仮想通貨はいろいろと面白いテーマであり書きたいことは山ほどありますが、今回は仮想通貨が金(きん)に近いという話をしたいと思います。なかなか壮大なテーマです。

金本位制と経済対策

仮想通貨は通貨とついており決済にも使えることから紙幣や硬貨などとおなじようなものだと考えている人も多いですが、金融関係者などにはもっぱら金に近いと言われることも多いです。実際に金の価格との連動性が高いです。なぜでしょうか。

話は世界恐慌や第一次世界大戦や第二次世界大戦にさかのぼります。かつては、貨幣について金本位制という制度がとられていました。金が貨幣の価値の裏付けになる制度です。しかし、金本位制には問題がありました。採掘量に制限がある金を裏付けとするため、金融政策や財政支出が制限されるからです。不景気などの問題が生じて金本位制は取られなくなりました。

例えば、現在は金本位制ではないので、コロナで不景気の対策として、政府が国債を発行し、日本銀行がありったけの日本国債を購入することで、金融政策と財政支出が随時行われました。金を裏付けとするとこういった政策を行いづらくなります。

また第二次世界大戦後の復興の過程では日本銀行や大量にお金を刷って、政府主導で鉄鋼の生産設備や資材の買い上げを実施し急激なインフレと経済成長の原動力にになりました。

※マクロ経済学やミクロ経済学をご存じでしょうか。一般的にマクロ経済学は金融政策や財政支出容認派であり、効果があることは歴史が示しているが、理論があいまいだと言われていました。一方でミクロ経済学は理論的にははっきりしているが、実際は効果がないと言われていました。現在は経験則上効果があるマクロ経済学の基本思想を理論的に説明し、随時世の中の期待を裏切るような景気刺激を行っていくのが主流の考え方となっています。

仮想通貨も採掘量に制限がある

仮想通貨のマイニングはご存じでしょうか。仮想通貨は徐々に暗号が複雑化し解読の処理に労力がかかるようになるようにし、暗号を解読したものに仮想通貨を与えるような設計になっています。そして、最初に設定したマイニング可能な量まで到達するとそれ以上は仮想通貨の総数は増えなくなります。そのため、採掘量に制限がある金本位制と同様の問題があります。すなわち、政府が世の中の通貨の量を自由にコントロールできないため、金融政策や財政支出を適宜行うことができません。

資本主義というものは、常に経済が成長しないとバランスを崩して不景気になるという問題を抱えた制度です。例えば、主要な産業の生産物が一通り流通して物が売れなくなると、人々は支出を減らすようになり、さらに物が売れなくなり、銀行も物が売れないとわかると金利を上げるので人々はお金を借りなくなり、さらに物が売れなくなるという悪循環に陥ります。これが大恐慌です。

金本位制の時代は、経済政策に制限があったため、政府が無理やりに公共設備を作るなどして需要を創出し、また、中央銀行が金融市場に資金を供給して金利をコントロールして人々に資金の借入をさせて経済を回すという経済政策がとりづらかったです。その結果、景気が悪くなると歯止めが効かなくなり、果ては戦争などの引き金になることもありました。通貨量がコントロールできない仮想通貨では同じ問題が生じます。

現状では通貨の代替になりえないが

景気を適切にコントロールするためには中央銀行が通貨の発行量を恣意的に操作することが不可欠です。よって、不景気や不景気により生じる様々な問題を無視するのでなければ、仮想通貨を通貨の代わりにすることはできません。

しかし、仮に仮想通貨の発行量を中央銀行が任意に変更できるような仕組みができれば、通貨の代替となることも可能になるでしょう。これからどうなっていくのか楽しみですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。

仮想通貨に関する税金などの質問があれば是非ご相談ください。

公認会計士・税理士 上原英知

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